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昆虫食の歴史

日本では昔から昆虫を食用にしてきました。最も古い資料は918年頃編纂された「本草和名」(日本現存最古の薬物辞典)で、その中にイナゴを食べていたことが示唆されています。また、江戸時代には昆虫食に関する記載が散見されるようになり、その中の一つ「本朝食鑑」にもイナゴの記載があります。

「農児はこれを焙って食べる。味は香ばしくて美味いと云う。」

単に栄養補給のためだけでなく、〝その味わいを好み親しまれてきた〟ことが伺えます。明治維新後の西欧文化の導入により、昆虫を食べる風習は次第に減っていきましたが、太平洋戦争末期から戦後3年間ほどは食料が不足し、イナゴ等が動物性たんぱく質源として利用されました。また、現在においても長野県をはじめとする山間部を中心に、「イナゴの佃煮、甘露煮」や「ハチノコ」(クロスズメバチ等の幼虫)は、愛好家の多い郷土食となっています。

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昆虫食への期待

国連によると、2020年に約76億人だった世界の人口は、2050年には97億人になる見込みです。現在でも世界には飢餓で苦しむ人※がいるのに人口が増え続けるため、食料、特に肉・魚介類などの動物性たんぱく質が不足すると言われています。
​そこで肉・魚介類に替わる新しい動物性たんぱく資質源として「昆虫食」が注目されるようになっています。〝​昆虫の繁殖力と発育速度が不足する動物性たんぱく質をカバーできると考えられている〟からです。

​※ およそ世界の9人に1人は、満足な食事ができな 
        い飢餓状態にあると言われています。(2018
        年時点で8億2100万人いると推定)

昆虫食の味わい

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多くの昆虫は焼いたときに香ばしく良い香りがします。これは、カニやエビのような甲殻類の殻や貝殻などに含まれている「キチン」という成分が焦げるときに出る香りです。味わいについては、昆虫の種類、 その昆虫に与えたエサなどの飼育環境や、どのように料理されたかに大きな影響を受けますが、カニやエビなどの香ばしさや、リンゴや洋なしなどのフルーティーな香り、アーモンドや松の実などに似た風味を持つとも言われています。
かつてのフランスのブルノ・コンビが、数種の昆虫の味について数ヵ国の人に対して試食試験を行ったことがあります。+5から-5までの11段階で評価した結果は、大部分の昆虫が好ましいと評価され、平均は+2.8であったそうです。〝弊社で取り扱うイエコオロギも試食試験の対象昆虫となっており、11段階評価の上から2番目、+4の評価がされました。〟味の評価は「基本五味」の他、歯ごたえ・歯切れの良さ・喉越しの感じなどが関わっており、個人の好みに左右されるため一概には表せませんが、弊社は昆虫が〝豊かな食の選択肢の一つとして非常に魅力的な味わい〟であると感じています。

参考文献
​・三橋敦著「昆虫食文化辞典」八坂書房 2012年
・秋山宏次郎監修「数学でわかる!こどもSDGs  地球がいまどんな状態かわかる本」(株)カンゼン 2021年

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